空は繋がっている
大好きな有川浩先生の『空飛ぶ広報室』という本に出てくる言葉。
実はね、これから飛行機に乗りますという人たちを見送ることのできる場所で働いています。そう、空港で。
空港で働いているからこそ苦しくなることも多かったので、そんな私のいまの心をそのまま映していこうと思います。
今年社会人1年目。とにかく空港業界、航空業界の就職活動は地獄のようだった。航空会社はどこも選考が途中で中止、空港関連会社も採用数が激減する中、一社だけ通ったのが今勤めている会社。拾ってもらった、と言っても過言ではないと思っています。
そんな苦しい就活をしてまでも“空港”にこだわったのには理由があります。
好きだから。
いってらっしゃい、おかえりなさい、ようこそ、これほど沢山のドラマチックな想いの集まる場所は空港しかないと思っています。人は出会い、別れを繰り返し、それを経て人生の歩みを進めます。世界中の人の“一歩”が生まれる空港をもっと素敵な場所にしたい、心に温かく刻めるような地にしたい、その思いで“空港”に凝っていました。最後の方はもう執念だったけどね。
でもその“一歩”を踏み出すのが自分だとは予想したことがなかった。自分がいってらっしゃいとおかえりなさいを言うであろうことになるなんて思ったことなかった。毎日見る出発便のフライト情報に ロサンゼルス の文字が見えると心がぎゅっとなるなんて。
働いていて初めて、飛ばなきゃいいのにと思ってしまった。
つい最近まで何てことなかったのに。空港で働くことに拘らなければもっと楽に、もっとこのご時世の影響を受けずに生きられたかもしれない。
そんな心の締め付けに加え、他の趣味やプライベートでも心を動かされることが重なり、少し心が沈んでしまっていたのですが最近やっと浮いてきました。
彼らの人生を賭けた勝負。
パフォーマンスで生きていく覚悟。
ステージが温室の中だけじゃ、外気には触れられないものね。
ここで待っているしかない。約8,800km離れた日本の玄関で彼らを待っているしかない。
大きな愛を持って、自分にできることは全部して、両手を広げて彼らを待っていることが綺麗事だと思うけれど、出来るだけ綺麗事を言っていたい、実践したい。大好きな人の背中を押して、お互いに成長しあえる存在でいたい。胸を張っておかえりなさいを言いたい。
知識と経験は失われない財産になる。
そう如恵留くんが教えてくれたから、帰ってくるその日まで学びに貪欲に向かおうかな。英語もフランス語も中途半端だから、ビジネスの場で通用するくらい上手く使えるようになりたい。あとは10月の資格試験かな。学びたいことがあるという幸せを教えてくれたのも如恵留くんです。
さあ、せっかく前を向けたんだから鮮やかに生きていこう。如恵留くんがくれた花の種を大事に咲かせて待っていよう。花の世話ばかりで如恵留くんのことを忘れてしまいそうになっても、きっと小指を見るたびに思い出させられるから大丈夫。毎日見送る飛行機を見るたびに寂しくなるんじゃなくて、背筋をしゃんと伸ばす。
そして彼らを永遠に失ったかのように思えてしまって、心が苦しくなってしまう日には口に出していこうと思う。
空は繋がっている。
Bon voyage !!!!!!!
Yours ever,
March 14th, 2021
Ri
P.S. ロサンゼルスにもし行くことが会ったら言ってください。お見送りします。